Excelの「最後のセル」とは何か?

Excelの[ホーム]-[編集]-[検索と選択]の[選択オプション]には「最後のセル(S)」という項目があります。これを使うと、最後のセル(正確には、最後の行と最後の列の交点)を選択できます。

(これ以降では、表記の煩雑さを避けるため、原則として行に限って記述しています。しかし、行を列に読み替えれば、基本的には列に同じことが言えます)

しかし、必ずしも最後の行がスクロールバーにおける最後の行とは限りません。ここでは、よく知られた「保存するとスクロールバーのノブのサイズが戻る」のことを対象とはしていません。保存した後においても、最後のセルがある行がスクロールバーにおける最後の行にならない現象を指しています。

ここでは、セルの種類と[検索と選択]の「最後のセル」(以降、最後のデータセル)とスクロールバーにおける最後のセル(以降、最後の認識セル)、その対応を検証しました。

以下の表はExcel2010で検証しています。

表の見方

先頭行の用語

  • データ列
    最後のデータセルとして認識されるかどうかを表す。
    その種類のセルが[検索と選択]の「最後のセル」のJump先となる場合はYes、ならない場合はNo
  • 認識列
    最後の認識セルとして認識されるかどうかを表す。
    その種類のセルがあるときに、スクロールバーのノブのサイズが、そのセルの位置の影響を受ける場合はYes、受けない場合はNo。
    なお、「スクロールバーのノブのサイズが影響を受ける」とは具体的には、新規のシートにおいて、A1000セルの位置に図形を配置すると、スクロールバーのノブのサイズはA1000セルにデータを入力したのと同程度の大きさになる。これを「影響を受ける」と表現している。逆に、A1セルに =A1000という計算式を入力してもスクロールバーのノブのサイズはA1セルにータを入力したのと同程度の大きさで、A1000セルにデータを入力した場合のサイズにはならない。これを「影響を受けない」と表現している。
    なお、スクロールバーのノブのサイズはSaveしたかどうかの影響を受けるため、ここでは影響を受けるかどうかはSaveしたの状態に対して判定している。
セルの種類データ認識補足
データが入力されているセルYesYes
データを入力してDeleteしたセルNoYes
書式を設定したセルNoYes
表示形式を設定セルNoYes
表示形式を設定して標準に戻したセルNoYes
計算式の参照先のセルNoNo
条件付き書式が設定されているセルNoNo
名前の設定されているセルNoNo
コメント(メモ)※1の設定されているセルNoYes
コメント(メモ)の配置※2されているセルNoNo
図形が配置されているセルNoNo
非表示にした行(または列)
Yes※3
Yes
罫線が描画されているセルNoYes
枠無し罫線を設定したセルNoYes
「数式と値のクリア」実行したセルNoNo
行の高さを変えた行のセルNoYes
列を指定して書式を設定セルNoNo列全体を選択しての設定
入力規則を設定したセルNoNo
保護-表示しないを変更したセルNoYes
保護-ロックをuncheckに変更したセルNoYes

※1 コメント(メモ)は、Excelのバージョンによって呼び名が変わっている。以前のバージョンでは「コメント」と呼ばれていたが、新しいバージョンでは「メモ」という呼び名に変わっている。
※2コメント(メモ)は、編集状態あるい表示状態の場合に通常はセルの右側に配置されるが、これを移動すること出来る。ここでの「配置されているセル」は、この移動によってセル自体ではなくそのセルのコメント(メモ)を別のセルの場所に移動した、その移動先のセルの場所を意味している。
※3正確には、「最後のセル」は非表示の行または列のひとつ手前の行または列になる。